2010年7月7日(水)、ブレックスアリーナ宇都宮にて開催された「バスケットボール男子日本代表強化試合2010 in 宇都宮 コジマ presents トーマス・ウィスマン男子日本代表ヘッドコーチ就任記念試合」。
中国CBA所属のプロチーム「東莞(ドングアン)レオパーズ」を招いて行われた強化試合。
新生男子日本代表の初戦であり、昨シーズンのJBLを優勝に導いたトーマス・ウィスマンヘッドコーチが栃木に凱旋するとあり、小雨降る中、開場時間前から長蛇の列。
ウィスマンHCやお気に入りの選手名が描かれたメッセージボードを掲げたり、日本代表ロゴなどをフェイスペイントしたり、日の丸を揺らしたりしながら、日本代表がコートに現れるのを今か今かと待ちわびている。
試合開始30分前、席はほとんど埋め尽くされ熱気溢れるブレックスアリーナ宇都宮。大きな拍手の中、いよいよ両チームが入場。オープニングセレモニーでは、JA全農栃木様よりウィスマンHCへ栃木和牛が贈呈された。さらにレオパーズからJBAへ記念品、栃木県バスケットボール協会より両チームに花束が贈呈。メンバー紹介では、地元リンク栃木の選手、そしてウィスマンHCの名前が呼ばれると歓声はさらに高まる。
同時に期待が高まる中、19時、新生日本代表の船出となる試合が始まった。
先制点を挙げたのは#11網野。日本のオフェンスは早い段階でシュートを打ち、ディフェンスではしつこくプレッシャーを与えるウィスマンHCが指示してきた通りのプレイを披露。しかし、レオパーズは#4スン(220cm)、#7ジャン(211cm)と長身選手がゴール下を制し始める。負けじと210cmの#8青野がダンクを決めるも、レオパーズは高さだけではなく#21グー、#23フンの連続3Pシュートを決まる。逆に日本の外角シュートが決まらず、序盤から突き放され、第1ピリオド終わって16-24。
日本は相手ディフェンスをかいくぐりながらゴールまで持ち込むがネットを揺らすことができない。さらに、相手のターンオーバーを誘うディフェンスから速攻に転じるが、これもゴールに嫌われてしまい、4分間得点が止まる。その間にもレオパーズが加点し、16-32と大きく引き離される。ようやく日本は#12竹田のジャンプシュートで得点。終盤にも交代で入った#16金丸が3Pシュートを決めるも、前半でのフィールドゴールの確率(29.2%)の低さが影響し、26-41で第2ピリオド終了。
ハーフタイムに「よりアグレッシブにいくこと、ディフェンスからフルコートへ展開し、自分たちの流れをつかもう」とウィスマンHCの指示を受け、後半スタート。指示通り、レオパーズの攻撃を24秒間守り切ると、続く攻撃で#5山田がアグレッシブに切れ込んでバスケットカウント。さらにレオパーズの攻撃の抑え、#13田臥、#6桜井が立て続けに速攻を決め33-41、8点差に迫る。「ニッポン」「ディフェンス」コールで後押しする満員の観客。#7石崎がディフェンスが構える前に3Pシュートを決め、さらに技ありのループシュートを決める。しかし、215cm#5リが#19満原をブロック、#6桜井のシュートは上からボールを奪い立ち塞がる。42-52と10点差とし、第4ピリオドへ。
第3ピリオドの勢いを保ちながらも、明らかに疲れが見える日本は再びゴールが遠のいていく。身長差で優位に立つレオパーズは#7ジャンを中心にインサイドを攻めて確実に得点を重ね、さらに日本のファウルを誘いながら点差を広げていく。#11網野のダンクまでもがゴールに嫌われたことが全てを物語るように、終始シュートを決めきることができず、55-71で新生日本代表の初戦は黒星を喫した。
試合後、2,786名のファンが見守る中、リンク栃木ブレックスの選手たちがコートに現れ、ウィスマンHCへの壮行セレモニーが行われた。ウィスマンHCはこれまで支えてくれた栃木のファンへ感謝の言葉を述べ、選手たちから胴上げされて宙を舞い、コーチを後にした。
記者会見でのウィスマンHCは今日の試合の反省点を挙げながらも、「日本代表にはシュート力ある選手がいるので、今日のスタッツはあまり問題視していない」「13本のオフェンスリバウンドを獲ることができ、リバウンドはさほど悪くは無かった」と良いパフォーマンスとは言えない中にも今後につながる良かった点を述べた。ようやく実現した実戦ゲームで練習成果を確認でき、そして課題も見つかった。一歩目を踏み出したばかりである。
この日、ゲームキャプテンを務めた#4永山は「まだまだウィスマンHCのバスケットを覚えている段階であり、これからが勝負」、#13田臥は「この敗戦の悔しさからしっかりと学び、より良いチームを作っていきたい」と前向きなコメントを残した。
7/14からジョーンズカップへ出場しさらなる真剣勝負を重ね、帰国後は再び国内でレバノン代表と対戦する国際親善試合(7/24、25、27)が控えている。全ては「アジアのエリート集団」の復活へ向けたプロセス。次の試合に期待したい。